には老祖母《おばあ》さんの病気としてある。豊世は直に電報の意味を読んだ。そして、再び夫の許へ帰ることの出来ない様な疑念《うたがい》と恐怖《おそれ》とに打たれた。生家へ出掛けて行ってみた時の豊世は、果して想像の通り引止められて了《しま》った。離別の悲哀《かなしみ》は豊世の眼を開けた――どこまでも豊世は正太の妻であった――そんな訳で、彼女は自分の生家に対しても、当分国の方に居にくい人である――彼女はしばらく東京にでも留って、何か独立することを考えようとして来た人である。こういう話を母に残して置いて、やがて正太は別れを告げて行った。
一旦くれた嫁を取戻すとは何事だろう。この思想《かんがえ》はお種に非常な侮辱を与えた。その時お種は、橋本の家に伝わる病気を胸に浮べた。何かにつけて、彼女は先ずその事を考えた。「あんな親子には見込が無い――」などと豊世の生家から指を差されるのも、唯、女に弱いからだと考えられた。
「だから、私が言わないこっちゃ無い――」
とお種は独りで嘆息して了った。彼女は豊世を抱いて泣きたいような心が起って来た。そして皆な一緒にどうか成って了うような気がした……
「橋本さん
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