「橋本の伯母《おば》さんだよ」
 と三吉はお房を窓のところへ抱上げて見せた。
「房《ふう》ちゃんですか」と言って、お種は窓から顔を出して、「房ちゃん……お土産《みや》が有りますよ……」
「ヨウ、日に焼けて、壮健《じょうぶ》そうな児だわい」と達雄も快濶《かいかつ》らしく笑った。
 お種は窓越しに一寸《ちょっと》でもお房を抱いてみたいという風であったが、そんなことをしている時は無かった。彼女はいそがしそうに、子供へと思って用意して来た品々の土産物を取出して、弟夫婦へ渡した。
「ずっと東京の方へ御出掛ですか」と三吉が聞いた。
「いや、東京は後廻しです」と達雄は窓につかまって、「私だけ東京に用が有りますから、先《ま》ず家内を送り届けて置いて……今度の様に急ぎませんとね、お種もいろいろ御話したいんでしょうけれど――」
「お雪さん、ゆっくり御話も出来ないような訳ですが、今度は失礼しますよ――いずれ復《ま》たお目に掛りますよ」とお種も言った。
 お雪は二番目のお菊を抱きながら会釈する、お種は車の上からアヤして見せる、碌《ろく》に言葉を交《かわ》す暇もなく、汽車は動き出した。


 お種が窓から首を出
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