って、ゆっくり子供の顔も見たいと思うのであったが、多忙《いそが》しい達雄の身《からだ》がそうは許さなかった。
この報知《しらせ》を受取った三吉夫婦は、子供に着物を着更えさせて、停車場《ステーション》を指して急いだ。夫婦は、四歳《よっつ》に成る総領のお房ばかりでなく、二歳《ふたつ》に成るお菊という娘の親ででもあった。お房は母に手を引かれて、家から停車場まで歩いた。お菊の方は近所の娘に背負《おぶ》さって行った。
「お前は菊《きい》ちゃんを抱いてた方が好かろう」
と三吉は、停車場に着いてから、妻に言った。お雪は二番目の子供を自分の手に抱取った。
上りの汽車が停まるべきプラットフォムのところには、姉夫婦を待受ける人達が立っていた。やがて向の城跡の方に白い煙が起《た》った。牛皮の大靴を穿《は》いた駅夫は彼方此方《あちこち》と馳《か》け歩いた。
種々《さまざま》な旅客を乗せた列車が三吉達の前で停ったのは、間もなくで有った。達雄もお種も二等室の窓に倚凭《よりかか》って、呼んだ。弟夫婦は子供を連れてその側に集った。その時、お雪は初めて逢った人々と親しい挨拶《あいさつ》を交換《とりかわ》した。
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