乏と戦わねばならぬ、一方へ向いては烈《はげ》しい気候とも戦わねばならぬ――こういう中で女子供の泣声を聞くのは、寂しかった。三吉は綿の入ったもので膝《ひざ》を包んで、独《ひと》りで遅くまで机の前に坐っていた。
 三吉が床に就く頃、子供は復た泣出した。柱時計が十二時を打つ頃に成っても、未だお房は眠らなかった。
 お雪は気を焦《いら》って、
「誰だ、そんなに泣くのは……其方《そっち》行け……あんまり種々な物を食べたがるからそうだ……めッ」
 いよいよお房は烈しく泣いた。時には荒く震える声が寒い部屋の壁に響けるように起った。母が怒って、それを制しようとすると、お房は余計に高い声を出した。
「ねんねんや、おころりや、ねんねんねんねんねしな……」とお雪は声を和《やわら》げて、何卒《どうか》して子供を寝かしつけようとする。お房は嬉しそうな泣声に変って、乳房を咬《くわ》えながらも泣止まなかった。
「母さんだって、眠いじゃないか」
 と母に叱られて、復たお房はワッと泣出す。終《しまい》には、お雪までも泣出した。母と子は一緒に成って泣いた。


「どうしてあんなに子供を泣かせるんだねえ。あんなに泣かせなく
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