てある処へ連れて行って遊ばせた。お房は櫛箱から櫛を取出して「かんか、かんか」と言った。そして、三吉の散切頭《ざんぎりあたま》を引捕えながら、逆さに髪をとく真似《まね》をした。
「さあ、ねんねするんだよ」
 こう三吉は子供を背中に乗せて言ってみた。書籍《ほん》を読みながら、自分の部屋の中を彼方是方《あちこち》と歩いた。
 お房が父の背中に頭をつけて、心地《こころもち》好《よ》さそうに寝入った頃、下婢は勝手口から上って来た。子供の臥床が胡燵《こたつ》の側に敷かれた。
「とても、お前達のするようなことは、俺《おれ》には出来ない」
 と三吉は眠った子供をそこへ投出《ほうりだ》すようにして言った。
「旦那さん、お大根が縛れやしたから、釣るしておくんなすって」
 と下婢が言った。この娘は、年に似合わないマセた口の利きようをして、ジロジロ人の顔を見るのが癖であった。
 三吉は裏口へ出てみた。洗うものは洗い、縛るものは縛って、半分ばかりは乾かされる用意が出来ていた。彼は柿の樹の方から梯子《はしご》を持って来て、それを土壁に立掛けた。それから、彼の力では漸く持上るような重い大根の繋《つな》いである繩《な
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