り、ウワッパリに細紐《ほそひも》を巻付けて、下婢《おんな》を助けながら働いた。時々隣の叔母さんは粗末な垣根のところへやって来て、お雪に声を掛けたり、お歯黒の光る口元に微笑《えみ》を見せたりした。下婢は酷《ひど》い荒れ性で、皸《ひび》の切れた手を冷たい水の中へ突込んで、土のついた大根を洗った。
「地大根」と称えるは、堅く、短く、蕪《かぶ》を見るようで、荒寥《こうりょう》とした土地でなければ産しないような野菜である。お雪はそれを白い「練馬《ねりま》」に交ぜて買った。土地慣れない彼女が、しかも身重していて、この大根を乾すまでにするには大分骨が折れた。三吉も見かねて、その間、子供を預った。
日に日に発育して行くお房は、最早親の言うなりに成っている人形では無かった。傍に置いて、三吉が何か為《し》ようとすると、お房は掛物を引張る、写真|挾《ばさみ》を裂く、障子に穴を開ける、終《しまい》には玩具《おもちゃ》にも飽いて、柿の食いかけを机になすりつけ、その上に這上《はいあが》って高い高いなどをした。すこしでも相手に成っていなければ、お房が愚図々々言出すので、三吉も弱り果てて、鏡や櫛箱《くしばこ》の置い
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