の靴を鳴らして、風の寒いプラットフォムの上を歩いてみた。
 下りの汽車が来た。少壮《としわか》な官吏と、少壮な記者とは、三吉に別れを告げて、乗客も少ない二等室の戸を開けて入った。
「この寒いのに、わざわざ難有う」
 と西は窓から顔を出して言った。車掌は高く右の手を差揚げた。列車は動き初めた。長いこと三吉はそこに佇立《たたず》んでいた。


 黄ばんだ日が映《あた》って来た。収穫《とりいれ》を急がせるような小春の光は、植木屋の屋根、機械場の白壁をかすめ、激しい霜の為に枯々に成った桑畠《くわばたけ》の間を通して、三吉の家の土壁を照した。家毎に大根を洗い、それを壁に掛けて乾すべき時が来た。毎年山家での習慣とは言いながら、こうして野菜を貯えたり漬物の用意をしたりする頃に成ると、復た長い冬籠《ふゆごもり》の近づいたことを思わせる。
 隣の叔母さんは裏庭にある大きな柿の樹の下へ莚《むしろ》を敷いて、ネンネコ半天を着た老婆《おばあ》さんと一緒に大根を乾す用意をしていた。未だ洗わずにある大根は山のように積重ねてあった。この勤勉な、労苦を労苦とも思わないような人達に励まされて、お雪も手拭《てぬぐい》を冠
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