とお雪が呼起した。三吉は眠がって、いくら寝ても寝足りないという風である。勤務《つとめ》の時間が近づいたと聞いて、彼は蒲団《ふとん》を引剥《ひきは》がすように妻に言付けた。
「宜《よ》う御座んすか。真実《ほんと》に剥がしますよ――」
 お雪は笑った。
 漸《ようや》く正気に返った三吉は、急いで出掛ける仕度をした。その日、彼は学校の方に居て、下婢が持って来た電報を受取った。差出人は東京の実で、直に金を送れとしてある。しかも田舎《いなか》教師の三吉としてはすくなからぬ高である。前触《まえぶれ》も何もなく突然こういうものを手にしたということは、三吉を驚かした。
 兄弟とは言いながら、殆《ほと》んど命令的に金の無心をして寄した電報の意味を考えつつ三吉は家へ帰った。委《くわ》しいことの分らないだけ、東京の家の方が気遣《きづか》わしくもある。とにかく、兄の方で、よくよく困った場合ででもなければ、こんな請求の仕方も為《す》まいと想像された。そして、小泉の一族の上に、何となく暗い雲を翹望《まちもう》けるような気がした。
 三吉は断りかねた。と言って、余裕のあるべき彼の境涯でも無かった。お雪もそれを気の
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