、近所の娘達は洋燈《ランプ》の周囲《まわり》へ集った。下婢も台所を片付けて来て、手習の仲間入をさして貰った。ともかくもこの娘は尋常科だけ卒業したと言って、その前に雇った下女《おんな》のように、仮名の「か」の字を右の点から書き始めたり、「す」の字を結《むすび》だけ書き足すようなことはしなかった。
しかし、この下婢《おんな》は性来|読書《よみかき》が嫌《きら》いと見えて、どんなに他の娘達が優美な文字を書習おうとして骨折っていても、それを羨《うらや》ましいとも思わなかった。お雪が起きて来て、ヨモヤマの話を始める頃には、下婢も黙って引込んでいない。無智な彼女はまたそれを得意にして、他の娘達よりも喋舌《しゃべ》った。
お房を背負《おぶ》って町へ遊びに行った時、ある人がこんなことを言ったと言って、それを下婢が話し出した。
「教師の赤にしては忌々《いめいめ》しいほどミットモねえなあ――赤もフクレてるし、子守もフクレてるし、よく似合ってらあ」
お雪も他の娘も笑わずにいられなかった。
「明日はこちらの叔父さんも御帰りに成りやしょう」
と娘の一人が言った。お雪はこの娘達を相手にして、旅にある夫の噂
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