。停車場《ステーション》から曾根の宿まで、道は可成《かなり》有る。古い駅路に残った旅舎《やどや》へ着いた時は、三吉が学校通いの夏服も酷く濡《ぬ》れた。
 曾根が借りている部屋は、奥の方にある二階の一室で、そこには女ばかり三四人集っていた。孀暮《やもめぐら》しをしつけた人達は、田舎の旅舎へ来ても、淋しい男気《おとこけ》のない様子に見えた。いずれも煙草一つ服《の》まないような婦人の連で、例の曾根の親戚にあたるという人は見えなかったが、肥った女学生は居た。煙草好な三吉はヤリキレなくて、巻煙草を取出しながら独りで燻《ふか》し始めた。
「あれ、煙草盆も進《あ》げなかった」
 と曾根はサッパリした調子で言って、客の為に宿から取寄せて出した。女学生はかわるがわる茶を入れたり、菓物《くだもの》を階下《した》から持運んだりした。歩いて来た故《せい》か、三吉ばかりは額から汗が出る。
 曾根はつつましそうに、
「まあ、そんなに御暑いんですか。私は又、御寒いと思っていますのに」
 こう言いながら、白い単衣《ひとえ》の襟を掻合《かきあわ》せた。彼女は顔色も蒼《あお》ざめていた。
 何時の間にか連の人達は出て行っ
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