……」とお雪はすねる。
「そう言うものじゃないよ。ああいう人の話も聞くものだよ」
こう言って置いて、三吉は客の方へ戻った。
庭に咲いた松葉|牡丹《ぼたん》、凌霄葉蘭《のうぜんはらん》などの花の見える奥の部屋で、三吉は大きな机の上へ煙草盆を載せた。音楽や文学の話が始まった。蜂《はち》と蟻《あり》と蜘蛛《くも》の生活に関する話なども出た。
「こういう田舎で御座いますから、何にも御構い申すことが出来ません」
とお雪は、子供を抱きながら、取寄せたものを持運んで来た。
「まあ、房《ふう》ちゃんで御座いますか」
と曾根は可懐《なつか》しげに言って、お雪の手から子供を借りて抱いてみた。膝《ひざ》の上に載せて、頬《ほお》を推当《おしあ》てるようにもしてみた。お房は見慣れない他《よそ》の叔母《おば》さんを恐れたか、声を揚げて泣叫ぶ。土産《みやげ》にと用意して来た翫具《おもちゃ》を曾根が取出して、それを見せても、聞入れない。お雪はこの光景《ありさま》を見ていたが、やがてお房を抱取って、炉辺の方へ行って了った。
暫時《しばらく》、曾根は耳を澄まして、お房の泣声を聞いていた。
「昨晩は――私は眠られ
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