頼めないという語気で話した。
「尤《もっと》も、僅か一週間ばかりの故《せい》だとは言いますけれど……」と復た曾根は愁《うれ》わしげに言った。
「貴方《あなた》のはどういう病気なんですか」と三吉は尋ねて、歩きながら巻煙草《まきたばこ》に火を点《つ》けた。
「我《わたくし》の持病です」と曾根は答えた。
暫時《しばらく》二人は黙って歩いた。目映《まぶ》しい日の光は城跡の草の上に落ちていた。
「あんまり考え過ぎるんでしょう」
と三吉は嘲《あざけ》るように笑って、やがて連の人達に追付いた。
城門を出たところで、曾根は二人の婦人と一緒に世話に成った礼を述べた。鉄道草の生《お》い茂った踏切のところを越して、岡の蔭へ出ると、砂まじりの道がある。そこで曾根は三吉に別れて、疲れた足を停車場の方へ運んだ。
「曾根さんも相変らずの調子だナア」
こう三吉は口の中で言ってみて、家を指して帰って行った。
お雪は屋外《そと》に出して置いた張物板を取込んでいた。そこへ夫が帰って来た。曾根のことは二人の話に上った。
「真実《ほんと》に、曾根さんはお若いんですねえ……」とお雪は乾いた張物を集めながら言った。
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