道に従事していることなどを三吉に語った。こういう薄命な、とはいえ独りで立って行こうとするほど意志の堅い婦人は、まだ外にも、曾根の周囲《まわり》にあった。曾根は女の力で支《ささ》えられたような家族の中に居て、又、女の力で支えられたような芸術に携《たずさわ》っていた。時とすると、彼女の言うことは、岩の間を曲り折《くね》って出て来る水のように冷たかった。
間もなく夏の雨は通り過ぎた。三吉は客と一緒にこの眺望の好い二階を下りた。四人は高い石垣について、元来た城跡の道を歩いて行った。
雨がかかると鶯《うぐいす》の象《かたち》が顕《あらわ》れるように言い伝えられた大きな石の傍へ来掛る頃は、復た連の二人がサッサと歩き出した。二人の後姿は突出た石垣の蔭に成った。
曾根は草木の勢に堪《た》え難いような眼付をして、
「山の上へ参りましたら病気も癒《なお》るだろう、海よりは山の方が好い――なんて懇意な医者に言われるもんですから、人様も憐《あわれ》んで連れて来て下すったんですけれど……やっぱり駄目です……」
独身でいる曾根の懊悩《なやみ》は、何とも名のつけようの無いもので有った。彼女は医者の言葉をすら
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