いうことは、酷《ひど》く三吉を驚かした。
「あの」とお雪は張物する手を留めて、「そこいらまで見物に被入《いら》しった序《ついで》に御寄んなすったんですッて」
「お前も又、待たして置けば好いのに――折角来たものを」
「だって御上りなさらないんですもの。お連《つれ》の方がお有んなさるからッて」
「へえ、誰か一緒に来たのかい」
「女の方が二人ばかり、流の処に蹲踞《しゃが》んでいらっしゃいました」
「姉さん」とお福は上《あが》り框《がまち》のところに腰掛けながら、「あの連の方は必《きっ》と耶蘇《ヤソ》ですよ」
「どうして耶蘇ということが分るの」とお雪は妹の方を見た。
「衣服《きもの》の風や束髪で分りますわ」とお福が言った。
「復た寄るとは言わなかったかい」と三吉は妻に尋ねた。
「ええ、被入《いら》っしゃりたいような様子でしたよ」とお雪は妙に力を入れて、「なんでも、停車場前の茶屋に寄っていらっしゃるんですッて」
「行って見て来るかナ」
こう三吉は言捨てて、停車場の方を指して急いだ。
茶屋には、曾根が二人の連と一緒に休んでいた。連の一人は曾根の身内にあたる婦人で、艶《つや》の無い束髪や窶々《や
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