れるほど勢の増した小川の岸に腰を曲《かが》めて、三吉は寝恍《ねぼ》けた顔を洗った。そして、十一時頃に朝飯と昼飯とを一緒に済ました。彼は可恐《おそろ》しい夢から覚めたように、家の内を眺め廻した。
口では思うように言えないからと言って、お雪が手紙風に書いた物を夫の許へ持って来た頃は、書生も水泳《およぎ》に行って居なかった。お雪が三吉に見てくれというは、種々《いろいろ》止《や》むを得ない事情から心配を掛けて済まなかった、自分は最早どうでも可いというようなそんな量見で嫁いて来たものでは無い、自分は自分相応の希望を有《も》って親の家を離れて来た、という意味が認めてある。猶《なお》、勉へ宛てて最後の断りの手紙を書いたから、それだけは許してくれ、としてある。
「なにも、俺は断れと言ってあんな手紙を書いたんじゃない。お前なんかそう取るからダメだ」と三吉は言ってみた。「福ちゃんの旦那さんに成ろうという人じゃないか……行く行くは吾儕《われわれ》の弟じゃないか……」
お雪は答えなかった。
冷《すず》しい風の来るところを択んで、お福は昼寝の夢を貪《むさぼ》っていた。南向の部屋の柱に倚凭《よりかか》りなが
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