君とお雪と及ばず乍ら自身|媒妁《ばいしゃく》の労を執って、改めて君に娶《めあわ》せんものと決心致し、昨夜、一昨夜、殆ど眠らずして其《その》方法を考え申候……ここに一つの困難というは、君も知り給う名倉の父の気質に候。彼是《かれこれ》を考うれば、生が苦心は水の泡《あわ》にして、反《かえ》って君の名を辱《はずかし》むる不幸の決果を来さんかとも危まれ候……」
 暫時《しばらく》、部屋の内は寂《しん》として、声が無かった。
「ああ君と、お雪と、生と――三人の関係を決して軽きこととも思われず候。世間幾多の青年の中には、君と同じ境遇に苦む人も多からん。新しき家庭を作りて始めて結婚の生涯を履《ふ》むものの中には、あるいは又生と同じ疑問に迷うものもあらん。斯《かか》ることを書き連ね、身の恥を忘れ、愚かしき悲嘆《なげき》を包むの暇《いとま》もなきは、ひとえに君とお雪とを救わんとの願に外ならず候。あわれむべきはお雪に候。君もし真にお雪を思うの厚き情《なさけ》もあらば、願わくは友として生に交らんことを許し給え……三人の新しき交際――これぞ生が君に書き送る願なれば。今後吾家庭の友として、喜んで君を迎えんと思い立
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