を連れて、鉄道の踏切からずっとまだ向の崖下《がけした》にある温泉へ入浴《はいり》に行った。
ふと、この裏の白い手紙が三吉の目に着いた。不思議に思って、開けてみた。一度読んだ。気を沈着《おちつ》けて繰返してみた。彼は自分で抑えることもどうすることも出来ない力のままに動いた。知らないでいる間は格別、一度こういう物が眼に触れた以上は、事の真相を突留めずにいられなかったのである。つと箪笥の引出を開けてみた。針箱も探してみた。櫛箱《くしばこ》の髢《かもじ》まで掻廻《かきまわ》してみた。台所の方へも行ってみた。暗い入口の隅《すみ》には、空いた炭俵の中へ紙屑《かみくず》を溜《た》めるようにしてあった。三吉は裏口の柿の樹の下へその炭俵をあけた。隣の人に見られはせぬか、女連《おんなれん》は最早《もう》帰りはせぬか、と周囲《あたり》を見廻したり、震えたりした。
勉が手紙の片《きれ》はその中から出て来た。その時、三吉はこの人の熱い情を読んだ。若々しい、心の好さそうな、そして気の利《き》いた勉の人となりまでも略《ほぼ》想像された。温泉に行った人達の帰りは近づいたらしく思われた。読んだ手紙は元の通りにして、
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