兄や若い書生には負けずに争った。お雪も暫時《しばらく》仲間入をしたが、やがてすこし頭が痛いと言って、その席を離れた。
 炉辺《ろばた》の洋燈は寂しそうに照していた。何となくお雪は身体が倦《だる》くもあった。毎月あるべき筈《はず》のものも無かった。尤《もっと》も、さ程気に留めてはいなかったので、炉辺で独《ひと》り横に成ってみた。
 奥の部屋では楽しい笑声が起った。一勝負済んだと見えた。復た骨牌が始まった。頭の軽い痛みも忘れた頃、お雪は食卓の上に巻紙を展《ひろ》げた。彼女は勉への返事を書いた。つい家のことに追われて、いそがしく日を送っている……この頃の御無沙汰《ごぶさた》も心よりする訳では無いと書いた。妹との結婚を承諾してくれて、自分も嬉しく思うと書いた。恋しき勉様へ……絶望の雪子より、と書いた。


 この返事をお雪は翌日《あくるひ》まで出さずに置いた。折を見て、封筒の宛名だけ認《したた》めて、肩に先方《さき》から指してよこした町名番地を書いた。表面《おもて》だって交換《とりか》わす手紙では無かったからで。お雪は封筒の裏に自分の名も書かずに置いた。箪笥《たんす》の上にそれを置いたまま、妹
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