って」
「そう……好く生ったことね」と言ってお雪も摘取りながら、「福ちゃん、此頃《こないだ》姉さんと約束したもの……あれを書いておくれナ。母親《おっか》さんの許《ところ》へ手紙を出すんだから――」
「姉さん、そんなに急がなくたって可《い》いわ」
「だって、どうせ出す序《ついで》だもの」
「それもそうね」と言ってお福は姉の傍へ寄った。
妹は自分で摘取った莢を姉の前垂の中へあけて、やがて畠を出て行った。お雪はそこに残っていた。
桑の葉を押分けて、復たお雪が入口の庭の方へ戻って行った頃は、未だ妹は引込んで書いていた。お雪は炉辺の食卓の上に豆の莢を置いて、一つずつその両端を摘切った。
お福は下書を持って静かな物置部屋の方から出て来た。
「姉さん、これで可《よ》くッて?」とお福は書いたものを姉に見せて言った。
「もうすこし丁寧にお書きな」とお雪が言った。
「だって、どう書いて好いか解らないんですもの」と妹は首を傾《かし》げて、娘らしい微笑《えみ》を見せた。
お福は姉の勧めに従って、勉と結婚することを堅く約束する、それを楽みにして卒業の日を待つ、という意味を認《したた》めて、お雪に渡した。
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