お雪は名倉の母へ宛《あ》てた手紙の中へこの妹に書かせたものを同封して送ることにした。
名倉の母からは、お福が行って世話に成るという手紙と一緒に、菓子の入った小包が届いた。遠く離れた母の手紙を読むことは、お雪に取って何よりの楽みであった。お雪はその返事を書いたのである。序に妹のことをも書き加えたのである。
お雪の許へ宛てて勉からは度々《たびたび》文通が有る。復たお雪は受取った。彼女は勉から来る手紙の置場所に困った。
ある日、三吉は勉からお雪へ宛てた手紙を他の郵便と一緒に受取った。
「勉さんからはよく手紙が来るネ」
こう三吉はお雪を呼んで言って、何気なくその手紙を妻の手に渡した。
どういう事柄が書かれてあるにもせよ、それを聞こうともしなかった程、三吉は人の心を頼んでいた。こういう文通の意味を略《ほぼ》彼も想像しないではなかった。しかし、それに驚かされる年頃でもなかった。彼は、自分が種々なところを通り越して来たように、妻もまた種々なところを通り越して、そして嫁《かたづ》いて来たものと思っていた。お雪も最早二十二に成る。こうして種々な手紙が新しい家まで舞込んで来るのは、別に三吉に
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