とても》この調子じゃ、俺も百姓には成れそうも無いナ」
 三吉は笑って、一度掘起した土を復た掘返した。大な石塊が幾個《いくつ》も幾個も出て来た。
 お雪も手拭を冠り、尻端を折って、書生と一緒に手伝い始めた。石塊は笊《ざる》に入れて、水の流の方へ運んだ。掘起した雑草の根は畠の隅に積重ねてあった。その容易に死なない、土の着いた、重いやつを、何度にか持運んで捨てに行くということすら、お雪には一仕事であった。三人は日光を浴びながら一緒に成って根気に働いた。
「頬冠りも好う御座んすが、眼鏡が似合いません」
 こうお雪は夫の方を見て、軽く笑うように言った。書生も立って見ていた。三吉も苦笑《にがわらい》して、土の着いた手で額の汗を拭《ぬぐ》った。


 清い流で鍬を洗って、入口の庭のところに腰掛けながら、一服やった時は、三吉も楽しい疲労《つかれ》を覚えた。お雪も足を洗って入って来た。激しく女の労働する土地で、麻の袋を首に掛けながら桑畠へ通う人達が会釈して通る。お雪は家を持つ早々こうして女も働けば働けるものかということを知った。
 嫁《かたづ》いて来たばかりで、まだ娘らしい風俗がお雪の身の辺《まわり》に
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