の地所でも、実際自分で鍬を執《と》って耕してみるということは、初めてである。不慣な三吉は直に疲れた。彼の手足は頭脳《あたま》の中で考えたように動かなかった。時々彼はウンと腰を延ばして、土の着いた重い鍬に身体を持たせ凭《か》けて、青い空気を呼吸した。
マブしい日が落ちて来た。三吉は眼鏡《めがね》の上から頬冠りして、復た働き始めた。
「どうも、好く御精が出ます」
と声を掛けて、クスクス笑いながら垣根の外から覗《のぞ》いて通る人があった。学校の小使だ。この男の家では小作をして、小使の傍《かたわ》ら相応の年貢を納めている。いずれ三吉はこの男に相談して、畠の手伝いを頼もうと思った。野菜の種も分けて貰おうと思った。
翌日《あくるひ》も、学校から帰ると直ぐ三吉は畠へ出た。
お雪は垣根と桑畠の間を通って、三吉の働いている処へ来た。書生も後から随《つ》いて来た。
「オイ、そんなところに立って見ていないで、ちと手伝いをしろ」と三吉が言た。
「御手伝いに来たんですよ」とお雪は笑った。
「お前達はその石塊《いしころ》を片付けナ」と三吉は言付けて、「子供のうちから働きつけた者でなくちゃ駄目だね――所詮《
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