》。父《とう》さんが祖母《おばあ》さんから貰《もら》つて來《き》た金米糖《こんぺいたう》なぞを小《ちひ》さな鞄《かばん》から取出《とりだ》すのも、その御休處《おんやすみどころ》でした。塲處《ばしよ》によりましては、冷《つめた》い清水《しみづ》が樋《とひ》をつたつて休茶屋《やすみぢやや》のすぐ側《わき》へ流《なが》れて來《き》て居《ゐ》ます。さういふ清水《しみづ》はいくらでも父《とう》さんに飮《の》ませて呉《く》れました。

   六四 寢覺《ねざめ》の蕎麥屋《そばや》

寢覺《ねざめ》といふところには名高《なだか》い蕎麥屋《そばや》がありました。
木曽路《きそぢ》を通《とほ》るもので、その蕎麥屋《そばや》を知《し》らないものはないと、伯父《をぢ》さんが父《とう》さん達《たち》に話《はな》して呉《く》れました。そこは蕎麥屋《そばや》とも思《おも》へないやうな家《うち》でした。多勢《おほぜい》の旅人《たびびと》が腰掛《こしか》けて、めづらしさうにお蕎麥《そば》のおかはりをして居《ゐ》ました。伯父《をぢ》さんは父《とう》さん達《たち》にも山《やま》のやうに盛《も》りあげたお蕎麥《そば》を奢《
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