ある梨《なし》[#ルビの「なし」は底本では「なり」]の木《き》の側《わき》へも行《い》きました。
『まあ、好《い》い草履《ざうり》を買《か》つて貰《もら》ひましたね。その草履《ざうり》には紐《ひも》が結《むす》んでありますね。お前《まへ》さんが大《おほ》きくなつて歸《かへ》つて來《き》たら、私《わたし》もまた大《おほ》きな梨《なし》をどつさり御馳走《ごちさう》しますよ。』
とその梨《なし》の木《き》が言《い》ひました。
伯父《をぢ》さんは父《とう》さん達《たち》を引連《ひきつ》れまして、日頃《ひごろ》親《した》しくする近所《きんじよ》の家々《うち/\》へ挨拶《あいさつ》に寄《よ》りました。大黒屋《だいこくや》へ寄《よ》れば小母《をば》[#「小母」は底本では「小毎」]さん達《たち》が家《うち》の外《そと》まで出《で》て見送《みおく》り、俵屋《たはらや》へ寄《よ》ればお婆《ばあ》さんが出《で》て見送《みおく》つて呉《く》れました。八幡屋《やはたや》、和泉屋《いづみや》、丸龜屋《まるかめや》、まだその他《ほか》にも伯父《をぢ》さんの挨拶《あいさつ》に寄《よ》つた家《うち》は澤山《たくさん》あ
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