な》るべく知《し》つた人《ひと》に逢《あ》はない田圃《たんぼ》の側《わき》を通《とほ》りまして、こつそりと出掛《でか》けて行《ゆ》きました。
數衛《かずゑ》の家《うち》は村《むら》の中《なか》でもずつと坂《さか》の下《した》の方《はう》にありました。父《とう》さんの小學校《せうがくかう》友達《ともだち》に扇屋《あふぎや》の金太郎《きんたらう》さんといふ子供《こども》がありましたが、その金太郎《きんたらう》さんの家《うち》よりもまだずつと下《した》の方《はう》でした。父《とう》さんが遊《あそ》びに行《ゆ》きましたら、數衛《かずゑ》は大層《たいそう》よろこびまして、爐《ろ》にかけたお鍋《なべ》で菜飯《なめし》をたいて呉《く》れました。それからお茄子《なす》の味噌汁《おみおつけ》をもこしらへまして、お別《わか》れに御馳走《ごちさう》して呉《く》れました。藁《わら》で編《あ》んだ莚《むしろ》の敷《し》いてある爐邊《ろばた》で、數衛《かずゑ》のこしらへて呉《く》れた味噌汁《おみおつけ》はお茄子《なす》の皮《かは》もむかずに入《い》れてありました。たゞそれが輪切《わぎ》りにしてありました。しかし父
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