なかつがは》といふ町《まち》の方《はう》から翫具《おもちや》の商人《あきんど》が來《き》た時《とき》に、祖母《おばあ》さんが買《か》つて呉《く》れたものでした。
『お前《まへ》が東京《とうきやう》へ行《ゆ》く時《とき》には、この鞄《かばん》へ金米糖《こんぺいたう》を一ぱいつめてあげますよ。』
と祖母《おばあ》さんは言《い》ひました。父《とう》さんもその小《ちひ》さな鞄《かばん》に金米糖《こんぺいたう》を入《い》れてもらつて、それを持《も》つて東京《とうきやう》に出《で》ることを樂《たのし》みにしたやうなそんな幼少《ちひさ》な時分《じぶん》でした。
五六 祖父《おぢい》さんと祖母《おばあ》さんのおせんべつ
祖母《おばあ》さんは、おせんべつのしるしにと言《い》つて、東京《とうきやう》へ出《で》る父《とう》さんのために羽織《はおり》や帶《おび》を織《お》つて呉《く》れました。
『トン/\ハタリ、トンハタリ。』
と祖母《おばあ》さんは例《れい》の玄關《げんくわん》の側《わき》にある機《はた》に腰掛《こしか》けまして、羽織《はおり》にする黄《き》八|丈《ぢやう》の反物《たんもの》と、子
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