三日幻境
北村透谷

−−
【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)遑《いとま》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)過夢|算《かぞ》ふるに

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「竹かんむり/(工+卩)」、第3水準1−89−60]

/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)せい/\
−−

     (上)

 人生何すれぞ常に忙促たる、半生の過夢|算《かぞ》ふるに遑《いとま》なし。悲しいかな、我も亦た浮萍を追ひ迷雲を尋ねて、この夕|徒《いたづ》らに往事を追懐するの身となれり。
 常に惟《おも》ふ、志を行はんとするものは必らずしも終生を労役するに及ばず。詩壇の正直男(ゴールドスミス)この情《こゝろ》を賦して言へることあり。
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I still had hopes, my long vexation past,
Hero to return――and die at home at last.
[#
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