》すのみなる事《こと》を示《しめ》し、實際家《じつさいか》を卑《いや》しむの念《ねん》をあらはし、「でなくば生命《いのち》を捨《す》てんのみ。運命《うんめい》に服從《ふくじゆう》し、百事《ひやくじ》を放擲《はうてき》し」、云々《しか/″\》の語《ご》を發《はつ》せしむるに至《いた》る。
「必然《ひつぜん》の惡《あく》」を解釋《かいしやく》して遊歩塲《いうほぢやう》の一少女《いつせうぢよ》を點出《てんしゆつ》しかの癖漢《へきかん》の正義《せいぎ》を狂欲《きやうよく》する情《じやう》を描《えが》き、或《あるひ》は故郷《こきやう》にありしときの温《あたゝ》かき夢《ゆめ》を見《み》せしめ、又《ま》た生活《せいくわつ》の苦戰塲《くせんぢやう》に入《い》りて朋友《はうゆう》に一身《いつしん》を談《だん》ずる處《ところ》あり。第六囘《だいろくくわい》に至《いた》りて始《はじ》めて、殺人《さつじん》の大罪《だいざい》なるか否《いな》かの疑問《ぎもん》を飮食店《いんしよくてん》の談柄《だんぺい》より引起《ひきおこ》し、遂《つい》に一刹那《いつせつな》を浮《うか》び出《いだ》さしめて、この大學生《だいがく
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