せい》何《なん》の仇《あだ》もなき高利貸《こうりかし》を虐殺《ぎやくさつ》するに至《いた》る。第《だい》七|囘《くわい》は其《その》綿密《めんみつ》なる記事《きじ》なり。讀去《よみさ》り讀來《よみきた》つて纖細妙微《せんさいみようび》なる筆力《ひつりよく》まさしくマクベスを融解《ゆうかい》したるスープの價《あたひ》はあるべし。是《これ》にて罪《つみ》は成立《せいりつ》し、第《だい》八|囘《くわい》以後《いご》はその罪《つみ》によりていかなる「罰《ばつ》」精神的《せいしんてき》の罰《ばつ》心中《しんちう》の鬼《おに》を穿《うが》ち出《い》でゝ益《ます/\》精《せい》に益《ます/\》妙《めう》なり。余《よ》は多言《たげん》するを好《この》まず。嘗《か》つてユーゴのミゼレハル、銀器《ぎんき》を盜《ぬす》む一條《いちでう》を讀《よ》みし時《とき》に其《その》精緻《せいち》に驚《おどろ》きし事《こと》ありしが、この書《しよ》載《の》するところ恐《おそ》らく彼《か》の倫《りん》にあらざるべし。余《よ》は不知庵《フチアン》がこの書《しよ》を我《わが》文界《ぶんかい》に紹介《せうかい》したる勇氣《ゆう
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