トルストイ伯
北村透谷

−−
【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)聖《きよ》く

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)形勢|俄《には》かに

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「門<言」、第4水準2−88−64]

/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)悉《こと/″\》く
*濁点付きの二倍の踊り字は「/″\」
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「聖《きよ》くまことなる心、無極の意と相繋がる意、世の雑染を離れて神に達するの眼《がん》、是等の三要素を兼有する詩人文客の詞句を聴くは楽しむ可きかな。」
 とは英人某がトルストイ伯を崇《あが》めたる賛辞なり。露国が思想の発達に於て欧洲諸隣国に後《おく》れたる事、既に久し。其記者が仏独の旧形を摸倣するに甘んじて、創造の偉功を顕はさゞる事も、亦《ま》た已《すで》に久しと云ふべし。然《しか》れども形勢|俄《には》かに一変し、自国の胸底より文学の新気運湧き出でゝ、今や其勢力充実して殆ど全欧を凌駕せんとす
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