「伽羅枕」及び「新葉末集」
北村透谷

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)辻浄瑠璃《つじじやうるり》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)其|生立《おひたち》

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「女+爾」、第4水準2−5−85]母《はゝ》に

/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)きふ/\
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 一は実を主とし、一は想を旨とする紅葉と露伴。一は客観的実相を尚び、一は主観的心想を重んずる当代の両名家。紅葉は「伽羅枕」を、露伴は「辻浄瑠璃《つじじやうるり》」を、時を同うして作り出たり。此二書に就き世評既に定まれるにも拘《かゝは》らず、余は聊《いさゝか》余が読来り読去る間《ま》に念頭に浮びし感を記する事となしぬ。
 余は二作を読み了《をは》りける後、奇《く》しくも実想相分るゝ二大家の作に同致《アイデンチヽイ》の跡瞭然見る可き者あるを認めぬ。従来の諸作は分明に紅葉をして細微なる人情の観察者たらしめ、露伴
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