や工業から時代おくれになって、農村が首をしめられ、落ち込んで行くのは分りきったことだ。
「百姓|嫌《え》やになった。」――健は集ってきた友達に云った。
 仕方がなくなると、紙に線をひいて、皆で軍人将棋をやった。――母親は、風呂敷のように皺ッぽい、たるんだ乳房を赤子の口にふくませながら、小さい切り窓から雨の外を、うつろに見ていた。こめかみを抑えて、「あ――あ、雨の音ば聞いてれば頭痛くなる。」
「S村の小作が、身欠鰊みたいに、ズラリ並んで首でもつる時来るべ。んだら見物《みもの》だ。」
 然し誰も笑えもしない。
 五、六人で傘をさして、近所の田を見に出た。誰かがついでに「蛇吉」に寄ってみようと云った。何とか話して置けば、工合がいいことがあるかも知れない。――ワザワザなら、誰がこったら管理人のどこさ来るッて、皆そう思っている。
 吉本は坐ったまま障子をあけて、黄色ッぽくムクンだ大きな顔を出した。小作達だと分ると、瞬間イヤな顔をした。
「何んだな。」
(猫撫で声だぞ!)
「ハ、別に……。」
 お客がいた。――H町の警察署長だった。健達はそれと分ると、理由なく尻ごみを感じた。然し吉本の方が何か周章
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