二週間以上も続いた。
 初め硝子の管のように太い雨が降った。雷が時々裂けるような音をたてた。――何時も薄暗い家の隅までが、雨明りで明るく見えた。
 それが上らず、そのまま長雨になってしまった。皆が当にしていた雲の切れ目も無くなって、飽き飽きする程同じ調子で、三日も四日も続いた。五日目になると、小作はあわて出した。居ても立っても居られない。どこの家でも百姓が軒下に立って、グジョグジョに腐りかけて、水浸りになっている外を見ていた。
「何んて百姓って可哀相なもんだべな。」
 佐々爺は東京新聞にも読み飽きてしまった。若いものの邪魔になりながら、ゴロゴロしていた。――「可哀相に、手も足も出ない。――はがゆくって!」
 稲が実を結びかけていた大切な時を、雨は二十日間降ってしまった。所々ボツンボツンと散らばっている小作の家は、置き捨てにされた塵芥箱のように意気地なく――気抜けしてしまった。
 一回仕入れた原料が出来上る迄に一年かかる。――七之助はそれに驚いた。然し、それどころか! その一年目にようやく出来上るものさえ、こう[#「こう」に傍点]ではないか。――これじゃ、あのめまぐるしい都会の色々な産業
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