てたように、
「用事か? 今こっち、一寸……。後で駄目かな。」
「イヤ、その、この雨だもんで、ハ、そのオ、田ば見てきました……。」
「ん――、今度のでは考えてる。――後にしてけれ。」
「あまり作がヒドイので、予め岸野さんの方へ、一つ……」
 健が云いかけたのを、ウルサそうに、
「ん、ん、ん!」と抑えてしまった。「お前等の指図でやるんでないんだ。分ってる。」
 警察署長と管理人!――何かあるな、健は帰りながら気になった。――S村では、まだ時々駐在所の巡査や校長へ、芋や大根や鶏を「初物《はつもの》」だと云うので、持ってゆく。所が[#「所が」に傍点]、その偉い旦那さん達が、裏では村の金持や有力者と、ちアんと結びついている。そんな事を、然し健がどんなに小作に話してやっても、分りッこがなかった。
 夜になると、近しくしている小作が、よく二三人ずつ落ち合った。――「一人で家にいたら、気が馬鹿になる。」
「どうしたら、ええべな。」
「岸野さんどう出るかな……。」
 不貞腐れて、時々酒に酔払ってくる小作も出来た。――辻褄の合わないことを、一人で恐ろしく雄弁にしゃべった。

     「ああいうのば犬ッ
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