迄もウマク出来るように、岸野は商業会議所の議員になったり、市会議員になったりする。イザとなれば警察とも道庁とも、すっかりウマク行く。その職責を持っていれば、又それを使って、逆に、自分の仕事に都合のいい事が出来る。
仮りにS村がどうも思わしくなくなった、とする。そうすれば、岸野は自分の党派の議員をケシ立てて、S村に鉄道をひかせる。停車場をつける。そうすれば、附近の地価が上る。宅地にしてしまえば、収入では大したちがいだ。――まず、こんな工合だ。
百姓はまだまだ色々こういう事が分っていない。
まだまだ分らないだろう。然しな、健ちゃ、どんなに難しくても、長くかかっても、俺達が一番先きに立って、やって行かなければ、誰もやって行くものはないのだ。――阿部さんからの話だと、村にも旭川の農民組合から人が来て、会をやってるそうだ。健ちゃも出るようにして、お互いに呼びあってしていたら、どんなによいかと思う。
キヌは村へ帰るようなことを云っていた。よく分らないが、帰らなければならなくなるだろう、と云っていた。――よく話をきいてみれば、あれだって可哀相なものだ。あれが悪いばかりでない。百姓の生活だよ。
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