」、屋号を示す記号、257−上−20]は貸金の回収をうけると同時に、それを又売り[#「又売り」に傍点]して、そこから利ざやを――つまり二重に儲けていた。
在郷軍人分会長、衛生部長、学務何々……と、肩書をもっている※[#「┐<△」、屋号を示す記号、257−下−3]の旦那のようになりたい、それが小作人の「夢」になっている。――小作人達は道で、※[#「┐<△」、屋号を示す記号、257−下−4]の旦那に会うと、村長や校長に会った時より、道をよけて、丁寧に挨拶した。「青年訓練所」では、※[#「┐<△」、屋号を示す記号、257−下−6]の旦那が「修養講話」をやった。
夜道
健達は、士官の訓練が終って、※[#「┐<△」、屋号を示す記号、257−下−8]の「修養講話」になると、疲れから居睡りをし出した。「青年の任務」「思想善導」「農民の誇」……何時《いつ》もチットモ変らないその講話は、もう誰も聞いているものがなかった。
外へ出ると、生寝《なまね》の身体にゾクッ[#「ゾクッ」に傍点]と寒さが来た。霧雨は上っていたが、道を歩くと、ジュクジュクと澱粉靴がうずまった。空は暗くて見えなかった
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