っていて、どうにも出来ず、結局そこから買わなければならなかった。――※[#「┐<△」、屋号を示す記号、257−上−6]は三年もしないうちに、メキメキと「肥えて」行った。
 蜘蛛の巣を思わせる様に、どの百姓も皆※[#「┐<△」、屋号を示す記号、257−上−8]の手先にしっかりと結びつけられ、手繰り寄せられている。
 村に「信用購買販売組合」が出来てから、※[#「┐<△」、屋号を示す記号、257−上−10]との間に問題が起った。――今迄とは比べものにならない程安く品物が買えるので、小作人は「組合」の方へドシドシ移って行った。と、※[#「┐<△」、屋号を示す記号、257−上−13]はだまってはいない。――若し「組合」の方へ鞍替するような「恩知らず」がいたら、前の借金がものを云うぞ、と云い出した。人のいい小作達は、そう云われて、今迄あんなに気儘に借金をさせて貰ったのに、それは本当に忘恩なことだ、と思った。
 ※[#「┐<△」、屋号を示す記号、257−上−18]は小作人が金が払えないと、米や雑穀でもいいと云った。――百姓が町へ行って、問屋に売る値段で、それを引きとってくれた。それで※[#「┐<△
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