の農場では争議を起されないうちに、(申訳ばかりだったが)小作料の軽減を行った。
然し岸野からは、「お前等が仮令千回演説会を開いても、蚤にさされたよりも、痛くも、かゆくもない。もっと元気よく、もっともっとやってくれ。」と云ってきた。
吉本はざま見ろ、という風に、それを持ってきた。
三度演説会を開いた。――然し「残念ながら」何度開いても、それが具体的にどうなるわけでもなかった。どうにかしなければならない。事実[#「事実」に傍点]荒川や阿部達も行き詰りを感じてきていた。――あせり出した。
方向転換
筆不精なばかりでなしに、手紙などというものを書いたことのない健が、思い出して、フト七之助に手紙を書いた。そして今度の争議のことを知らせてやった。
すぐ[#「すぐ」に傍点]七之助から返事が来た。
――小樽の労働組合のものに、そのことを話した。そしたら小樽へ出て来い、と云うのだ。地主は小樽に居る[#「地主は小樽に居る」に傍点]。そんな処でいくら騒いだって、岸野には、百里も離れた向う岸の火事よりも恐ろしくない。都会の労働組合が応援して、一緒にやらなければ、その争議は決して勝つこ
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