健は然し、※[#「┐<△」、屋号を示す記号、320−上−18]がそんな「偉い」ことを云って歩いていながら、吉本管理人とちアんと結び合っていること――吉本と争議のことで、H町の料理屋で会ったことを知っていた。
「恐ろしいもんだな。」
「恐ろしいもんだよ。――何処で、どう関係があるか、表ばかりの云うことや、することを見ていたんじゃ分らないんだ。」
荒川が健から聞くとそう云った。「糸を手繰ると、飛んでもなく意外な奴が、実は一緒になってるもんだよ。」
学校では由三達が市街地の子供からいじめられた。
あの「温厚な人格者」の校長が(健は殊にそう思っていたのだ!)時間がある毎に、小作争議のことを「不祥事だ」「不祥事だ」と云った。「若しお前達の親や兄弟で、あんな悪いことをするものがあったら、やめさせるように一生ケン命お願いしなければならない。」
先生の云うことなら、どんな事でもそのまま信じこむ由三は、家へ帰ると健に泣きついた。――由三は学校へ行くと、いじめられるので時々休んだ。そして健のところへ来た。手紙を届けたり、ビラを配るのに手伝った。――「学校さ行《え》ぐより、ウンとええわ。」
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