けたものが七、八人いた。――父親が探がした時、知らずに打ち当ったと云うので、下がっているキヌの身体が眼につかない程ゆるく揺れていた。提灯の火だけでそれを見ていると、寒気がザアーッと身体を走った。
「ハ、ようやく村の恥さらしものに片がつきました……。」
 父親が血の気のない顔で云って歩いていた。
 健には、キヌの死んだ事が何故か、キヌという一人の人間だけのこと、それだけのことでなく思われた。――もッと別なことが、色々その中にある気がした。
 S村と小樽、これをキヌが考えさせる!
[#改段]

    九


     「なア、お内儀さん達よ――」

 岸野から返事が来た。
 伴のところへ、吉本から人が呼びに来た。――それと、健がキヌの葬式に出掛けて行く途中会った。
「聞かなくても分ってるんだ。」と伴が云った。
「岸野のこッた。――帰りに寄る。」
 勝の家の前で、父の一人一人ちがった兄弟が田の引水をせきとめて、鮒をすくっていた。身体をすっかり泥水に濡らして、臍のあたりについている泥が白く乾いていた。
「愛子オ。」――男の子が呼んだ。
「何アに。」
「愛子あ――とて、あれきあんだれき、ありや
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