ように跳ねて、かけ出して行った。――後も見ずに。
 健は二、三日してから、嫌な噂をきいた。――キヌが妊娠している、相手は大学生だとか云っていた。それでホテルにも居たたまらず、「こっそり」帰ってきたのだった。
 父はキヌを家に入れない、と怒った。――キヌは土間に蹴落された。ベトベトする土間に、それでも手をついて、「物置の隅ッこでもいいから」と泣いて頼んだ。
 まだ色々なことが耳に入ってきた。
 ――キヌはそんな身体で、無理をして働いた。手が白く、小さくなったものは、百姓家には邪魔ものでしかなかった。――自分で飯の仕度をして、それを並べてしまうと、隅の方に坐って、ジッとしている。皆がたべてしまって余りがあれば、今度はそれを自分でコソコソたべる。――健は矢張り聞いているのがつらかった。
 遅くなって、健が伴のところから帰ってくると、母親が顔色をかえていた。
「キヌちゃ首ばつッたとよ!――来てけれッて。」
 健はものも云わずに外へ出た。
 外へ出ると、「やったな!」と思った。――月の夜だった。キヌとの色々なことが、チラッと頭をかすめて行った。
 キヌは納屋で首を縊っていた。健が行くと、提灯をつ
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