葉じゃ。」
「あ――あ、有難や。有難や。」
「ナムアムダブツ。」
「ナンマンダブ、ナンマンダブ……。」
――百姓は心の何処かで、自分でも分らずに「来世」のことを考えている。――長い間の生活《くらし》があんまり「苦し」過ぎていた、それがそして何時になったって、どうにもなるものじゃなかった。――あの世に行きさえすれば、年を取ってくれば、もうそれしか考えられない。
「何事も、何事もジッと、ジ――イと堪えることじゃ!」
坊さんはそれを繰りかえした。
キヌ
健はキヌが帰ってきたことを知らされた。
「やッぱし小樽だ、あの恰好な! 大家の御令嬢さ。田舎の犬ば、見なれないんで、吠えるべ。――村の青年団もこれア一もめもめるべよ。」
健は笑いもしなかった。
キヌのことは別に頭になかった。――戻ってきたから、どうなる、どうする、今更そんなことでもなかった。
「キヌちゃ戻ってきたワ……?」
節がそれだけを健に云うのに、吃った。――眼が健の顔色を読んでいる。
「馬鹿!」
健は節の唇を指ではじいてやった。
節は一寸だまって、――と、
「そう?――まア、嬉しい!」
急に縄飛びでもする
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