、主に岸野のつて[#「つて」に傍点]だった。
年寄りはその日を、子供がお祭りを待つより待っていた。
その日、年寄りはしまって置いたゴワゴワな手織の着物をきて、孫娘に手をひかせて出掛けた。――畦道を、曲った錆釘のように歩いて行った。健の母親も決して欠かしたことがなかった。
「……現世は苦しい――嫌なこと、悲しいこと、涙のにじむようなこと、淋しいことで満ち満ちている。だが、これも前世イからの約束事、何事も因果の致すところじゃ、そう思オ――て、しのばにゃならない。――お釈迦様はそうおっしゃッていなさる。」
坊さんはそう云う。年寄達は一句切れ、一句切れ毎に、「南無阿弥陀仏」を繰りかえした。
「……その代り、あみだ様のお側にお出になったとき、始めて極楽往生を遂げることが出来る。あ――あ、お前も人間界にいたときは苦しんだ。然し何事も仏様の道を守って、一口も不平を云うことなく、よくこらえて来た、もう大丈夫じゃ、さ、手を合わせて、こういう風に合わせて、たった一言、ナムアムダブツ、そう称えさえすれば大安心を得ることが出来るのじゃ。蓮華の花の上に坐ることが出来るようになるのじゃ……。」
「有難いお言
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