きながら、コップの「もッきり[#「もッきり」に傍点]」を飲んだ。
大概の百姓は帰りに寄って「もッきり」をひっかける。――店先には百姓の馬車が何台もつながれていた。牝馬が多い。たまに牡馬が通ると、いななきながら前立ちになり、暴れた。荒物屋の中から、顔を赤くした百姓が飛び出して来て、牝馬を側《わき》の方へ引張って行った。
「のべ源」はここで酔いつぶれると、そのまま白首《ごけ》のいる「そば屋」へ行った。――女達は「のべ源」を知っていた。――そして、イヤがった。酔うと、丸太のような腕で女をなぐりつけた。女が襖の足を払い、チャブ台をひっくりかえし、障子を倒して階段を芋俵のように転げ落ちたことがあった。
「のべ源」の馬はひっそりとした通りに、次の朝までつながれッ放しになっていた。
「来世」
毎年の例で、小樽から「偉い坊さん」を呼んで、S村龍徳寺で、四五日間説教が開かれた。――龍徳寺の前には、岸野や吉岡などの大地主や、※[#「┐<△」、屋号を示す記号、308−下−5]、吉本などの寄附金の「芳名録」の札がズラリと立っている。岸野は「金壱千円也」出していた。――小樽から坊さんを呼ぶのも
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