は今迄笠原の給料で間代や細々《こまごま》した日常の雑費を払い、活動に支障がないように、やっとつじつまを合せてきていたので、彼女の首は可なりの打撃だった。だが、そうと決れば、この際少しでも沢山の金を商会から取ることだったが、私が非合法なので強いことは云えなかった。事実、主任は警察の手が入らないだけ君の儲《もう》けなのだから、おとなしく引いて貰《もら》いたいと、暗に釘を打っていた。
 私たちはテキ面に困って行った。悪いことには、それが直《す》ぐ下のおばさんに分る。下宿だけはキチンとして信用を得て置かなければ、うさん臭く思われる。そうなるとそれはたゞ悪いというだけで済まなくて、危険だった。それで下宿代だけはどうしても払うことにした。だがそうすると、あと二三円しか残らなかった。二三円などは直ぐ無くなる。笠原は就職を探すために、毎日出掛けて行くし、私も一日四回平均には出なければならなかった。私は今まで乗りものを使っていたところを歩くことにした。そのために一つの連絡をとるのに、その前後三四十分という時間が余分にかゝり処《ところ》によると往きと帰りに二時間もかゝり、仕事の能率がメキ/\と減って行った
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