ちにいて、夜ばかり使ったからである。それで一緒に室の中に坐るという事が尠《すく》なかった。そういう状態が一月し、二月するうちに、笠原は眼に見えて不機嫌《ふきげん》になって行った。彼女はそうなってはいけないと自分を抑えているらしいのだが、長いうちには負けて、私に当ってきた。全然個人的生活の出来ない人間と、大部分の個人的生活の範囲を背後に持っている人間とが一緒にいるので、それは困ったことだった。
「あんたは一緒になってから一度も夜うちにいたことも、一度も散歩に出てくれたこともない!」
終《しま》いには笠原は分り切ったそんな馬鹿なことを云った。
私はこのギャップを埋めるためには、笠原をも同じ仕事に引き入れることにあると思い、そうしようと幾度か試みた。然《しか》し一緒になってから笠原はそれに適する人間でないことが分った。如何にも感情の浅い、粘力のない女だった。私は笠原に「お前は気象台[#「気象台」に傍点]だ」と云った。些細《ささい》のことで燥《はしゃ》いだり、又逆に直《す》ぐ不貞腐《ふてく》された。こういう性質《たち》のものは、とうてい我々のような仕事をやって行くことは出来ない。
勿論《
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