めに父はひどく心臓を悪くしていた。――私はどうしてもうつ[#「うつ」に傍点]伏せにならないと眠れないとき、自分がだん/\父と似てくるように思われた。然し父は、地主に抗議して小作料を負けさせることをせずに、自分の身体をこわ[#「こわ」に傍点]してまで働くことでそれから逃れようとした、二十何年も前のことだが。然し私はちがう。私はたった一人の母とも交渉を断ち、妹や弟からも行衛《ゆくえ》不明となり、今では笠原との生活をも犠牲にしてしまった形である。それに加えてどうやら私は自分の身体さえそのために壊れかけているようだ――これらは然し私の父のように地主や資本家にモッと奉公してやるためでなく、まさにその反対のためである!
 私にはちょんびりもの個人生活も残らなくなった。今では季節々々さえ、党生活のなかの一部でしかなくなった。四季の草花の眺めや青空や雨も、それは独立したものとして映らない。私は雨が降れば喜ぶ。然しそれは連絡に出掛けるのに傘《かさ》をさして行くので、顔を他人《ひと》に見られることが少ないからである。私は早く夏が行ってくれゝばいゝと考える。夏が嫌だからではない、夏が来れば着物が薄くなり、私
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