そういう同志は自分ではいくらしっかりしていようとしても、眼に見えて駄目になって行く。我々にとって「雰囲気」というものは、魚にとっての水と少しもかわらないほど大切なのだ。女の同志が自分一個のためでも、又男と女が一緒に仕事をしていて、とも倒れ[#「とも倒れ」に傍点]からのがれるために喫茶店に入るときでも同じである。ところが笠原の場合、その仕事の訓練さえも持っていないので、ズルズルと低い方に自分の身体を傾けてゆくのは分りきっていた。――だが、どうしても自分の全生涯をとして運動をやろうという気魄《きはく》も持たず、しかも他方私の組織的な仕事は飽《あ》く迄《まで》も守ってゆかなければならぬドタン場に来ている以上、センチメンタルになっていることは出来なかった。
笠原は始め下宿から其処《そこ》へ通った。夜おそく、慣《な》れない気苦労の要《い》る仕事ゆえ、疲れて不機嫌な顔をして帰ってきた。ハンド・バッグを置き捨てにしたまゝ、そこへ横坐りになると、肩をぐッたり落した。ものを云うのさえ大儀そうだった。しばらくして、彼女は私の前に黙ったまゝ足をのばしてよこした。
「――?」
私は笠原の顔を見て、――足に
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