ドシ/\使った。それが仲間との間に少しの間隙を作った。それと共に、それらの女工はどこか「すれ[#「すれ」に傍点]」ていた。「運動」のことが分っているという態度が出ていた。――伊藤はその間のそり[#「そり」に傍点]を合わせるために、今色々な機会を作っていた。「小説のようにはうまく行かない」と笑った。
私たちは「エンコ」する日を決め、伊藤が場所を見付けてくれることにした。愈々《いよいよ》最後の対策をたてる必要があった。
「あんた未だなす[#「なす」に傍点]?」
伊藤が立ち上がりながら、そう訊いた。
「あ。」
と云って、私は笑った、「お蔭様で、膝《ひざ》の蝶《ちょう》ちがい[#「ちがい」に傍点]がゆるんだ!」
伊藤は一寸帯の間に手をやると、小さく四角に畳んだ紙片を出した。私はレポかと思って、相手の顔を見て、ポケットに入れた。
下宿に帰って、それを出してみると、薄いチリ紙に包んだ五円札だった。
八
笠原は小さい喫茶店に入ることになった。入ると決まるとさすがに可哀相《かわいそう》だった。運動しているものが、生活の保証のために喫茶店などに入るのは、何んと云《い》っても恐ろしいことで、
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