触って見た。膝頭[#「膝頭」に傍点]やくるぶし[#「くるぶし」に傍点]が分らないほど腫《むく》んでいた。彼女はそれを畳の上で折りまげてみた。すると、膝頭の肉がかすかにバリバリと音をたてた。それはイヤな音だった。
「一日じゅう立っているッて、つらいものね。」
と云った。
私は伊藤から聞いたことのある紡績工場のことを話した。「立《た》ち腫《は》れ」がして足がガクつき、どうしても機械についていられない。それを後から靴で蹴《け》られながら働いていることを話した。私はそして、笠原がそういう仕事のつらさ[#「つらさ」に傍点]を、自分だけのつらさで、自分だけがそこから逃れゝば逃れることの出来るつらさと考えず、直ぐそれがプロレタリア全体の縛りつけられているつらさであると考えなければならないと云った。笠原は聞いていて、
「本当に!」と云った。
私は久し振りに自分の胡坐《あぐら》のなかに、小柄な笠原の身体を抱えこんでやった――彼女は眼をつぶり、そのまゝになっていた……。
笠原はその後、喫茶店に泊りこむことになった。その経営者は女で、誰かの妾《めかけ》をしているらしかった。女一人で用心が悪いので、そこ
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